不法投棄と聞くと、自分とは関係ない企業による産業廃棄物や大気汚染といったイメージが浮かぶかもしれません。
ですが空き缶のポイ捨てや正規の場所ではないところへのゴミ出しなども不法投棄であり、立派な犯罪です。
この不法投棄という問題については、意識していないと被害者になるばかりか加害者になってしまうこともあります。
不利な立場にならないよう、不法投棄の現状や事例についての知識を深めていきましょう。
不法投棄とは
不法投棄とは法律に反して決められた場所以外にごみを投棄することです。
空き缶のポイ捨てから、企業による産業廃棄物まで様々な形態の不法投棄があります。
不法投棄には罰則が設けられ、個人でも数十万〜1000万、法人なら億をこえる罰金が請求されることもあります。
なぜ不法投棄にそんな重い罰則が課されるのか。不法投棄の現状や被害について話していきます。
不法投棄の現状
軽い不法投棄と言えばタバコや空き缶のポイ捨て、家庭ゴミをといったものがあります。
不法投棄という言葉からは「悪い企業が汚染水を垂れ流し環境を破壊する」といった、大きな存在をイメージしてしまいます。
ですが、公害等調整委員会の調査によると不法投棄によるゴミは全体の70%以上が個人によるもので、苦情の数は圧倒的に個人による不法投棄によせられています。
公害等調整委員会の調査によると、廃棄物の不法投棄に関する苦情件数は年々増加しており、平成14年度の苦情件数は約1万4千件に上っています。このうち一般廃棄物に係るものが全体の約74%を占めており、苦情件数では産業廃棄物を大きく上回っていました。
「平成16年版 循環白書」より引用
個人が不法投棄について深く意識していないことや、被害の大きな事件ばかりクローズアップされて犯罪をしているという自覚を持ちにくいことが問題になっているのではないでしょうか。
不法投棄は意識していないと簡単に被害者になるばかりか、加害者にもなりうる危険な行為です。不法投棄について理解を深め、誤って加害者になってしまわないようにしたいですね。
不法投棄の事例について
ではどういったことが不法投棄にあたるのか、また不法投棄によってどの程度の罰則が与えられるか。
実際の事例を見ていきましょう。
事例1 産業廃棄物の大量不法投棄
埼玉県や茨城県の空き地に合計600トン以上のビル解体工事で出た産業廃棄物を違法に捨てたとして、運送業者の社長、解体業者の社長、暴力団組員、あっせんを行なった自営業者の男が逮捕されました。
刑事事件弁護士ナビ より引用
事例2 人気うどん店の残飯
うどん店で出た残飯を公園に捨てたとして、愛知県警東署は31日、公園管理者への威力業務妨害の疑いで、名古屋市名東区八前、うどん店店主、村上幸徳容疑者(51)を逮捕した。東署によると、3年以上前から1週間分のうどんや野菜などの残飯を公園に毎週捨てていた。近隣の小学校による報告で発覚。児童が片付けることもあった
産経WEST うどん店の残飯より引用
産業廃棄物からお客が食べ残すうどんまで、幅広く不当に処理したゴミは不法投棄として扱われます。
不法投棄は、廃棄物処理法という法律によって処罰される犯罪です。1,000万円以下の罰金刑または5年以下の懲役刑が課され、未遂であっても処罰されるおそれがあります。
紹介した事例のように悪質な場合は、逮捕されることもあります。
数千円やゴミ捨ての手間を惜しんで、数十万の罰金を払ってしまったら元も子もないですよね。
ごみは正規の手順で処理するようにしていきましょう。
不法投棄による大規模な被害
次は不法投棄による有名な事件と、不法投棄によって引き起こされた2つの大規模な被害について見ていきましょう。
まずは香川県豊島で起きた、埋め立てについて。
豊島不法投棄事案
調停の結果、排出事業者19社が合計約3億7,800万円の解決金を支払う(住民が1/2、香川県が1/2を受領)とともに、平成24年度までに約447億円かけて廃棄物等約56万m3を豊島から隣接する直島へ海上へ輸送し焼却処理をすることに。 平成16年版 循環白書 - 環境省 より引用
青森・岩手県のケース
平成11年、青森県警および岩手県警は青森の廃棄物処理業者を逮捕。同社は青森県田子町及び岩手県二戸市にまたがる同社の事業場敷地内に、廃プラスチック、燃え殻、セメント、医療廃棄物等のゴミを合計88万m3不法投棄。豊島県での事件を超える規模でした。持ち込まれたゴミは全国に所在する10,600社の排出事業者によるもので、ごみの9割が首都圏でした。大都市圏で発生した産業廃棄物が地方圏に持ち込まれ不法投棄されたものになります。 廃棄物処理業者は平成13年に解散、埼玉県の産業廃棄物処理業者は12年10月に破産しています。今後、青森、岩手両県は、産廃特措法の実施計画に基づき平成15~24年度の10年の月日と約655億円の巨費を投じて生活環境保全上の支障除去等の措置を講じていくこととしています。
平成16年版 循環白書 - 環境省 より引用
規模は違いますが、企業を動かしているのは個人です。
個人の心がけが不法投棄を減らしていくので、気を引き締めていきましょう。
不法投棄による海外の事故
【2013年11月24日AFP】イタリア・カンパニア州の州都ナポリ近郊のがん発症率増加の原因が、同地を拠点とするマフィア「カモッラ」が不法投棄している有害なごみの可能性があることが明らかになった。同地では年間数百トンに上るごみの焼却や埋設に使用しているという証拠が相次いで明らかになり、地元住民数千人が抗議デモを行った。 ごみから上がる煙が立ち込めるナポリ北部は「死の三角地帯」と呼ばれるようになっており、美しい景色で料理も有名なナポリ湾に近いにもかかわらず、悲惨な光景になっている。環境保護団体レガンビエンテによると、1991~2013年にナポリ北部にはイタリア国内外から集まった約1000万トンの産業廃棄物が埋められたという。この期間に40万台を超えるトラックが主に夜間にごみを持ちこまれたという。 伊ナポリの不法投棄、「死の三角地帯」より引用
ナポリによる大規模な被害の例です。この不法投棄によって景観が害されただけではなく、ゴミが廃棄された地域の発ガン性も高まったとのこと。
イタリアのがん研究機関によるとがんになった人の数は女性で40%、男性で47%増え、地元には子供の墓も増えてきているとのこと。
原因はマフィアによるゴミ処理ビジネスへの進出で、不当に安く買い取った廃材を井戸や湖に不法投棄したこと。
元マフィア関係者は「(不法投棄は)金を生む本当のビジネスになったが、住民は20年以内にがんで死ぬ危険がある。住民たちを救うことはできないと思う。私たちはあなたたちの子供たちを殺したんだ」と証言しています。
悪質な業者へ粗大ごみを預けることは人の命を奪うことにも繋がります。ご注意ください。
不法投棄はバレる可能性が高い
そう思っている方はご注意ください。不法投棄への監視の目は厳しくなっていてバレる可能性が非常に高いです。
環境省の調査によると廃棄物処理法違反によって検挙される産業廃棄物の不法投棄事犯が増加していています。平成15年に廃棄物処理法違反で警察が検挙した産業廃棄物不法投棄事犯は900件、880名でした。
平成16年版 循環白書 - 環境省 より引用
どうして検挙される数が増え続けているのか、その理由について触れていきます。
防止のため市区町村で対策がされている
不法投棄は処理を捨てた本人ではなく捨てられた場所の地主や地区がやらないといけないので、全力で防止への対策を講じています。
福岡県鞍手町では、町全体で不法投棄をなくすため、不法投棄を見た際の行動のマニュアルを掲げています。
不法投棄を見かけた際には
1.不法投棄の日時、場所
2.不法投棄の行為者が使用していた車両のナンバー、車種、色等
3.不法投棄された廃棄物の種類、量
4.不法投棄の行為者の人数、人相、推定年齢、逃走方向等
その際の通報場所、次に取るべき行動、注意する点など細かく注意をしています。
防犯カメラを多く設置する県や、地方公共団体による夜間パトロールや不法投棄マップの作成など防止に力をいれています。
ICタグをごみにつけ生産から処理までを追尾するシステムの導入も試験的に行われる場所もあり、日々追跡技術は進化しています。
どうせバレない。という考えは通用しなくなるでしょう。
捨てたものの中から情報が拾われる
ゴミの中から出てきた氏名や公共料金支払い書等の個人情報から身元が割り出されることがあります。
見るからに本人だとわかる情報を消したとしても、自転車や冷蔵庫等は型番などから製造元を割り出されることもあります。
結果、バレないと思って捨てた個人や業者の逮捕につながるのです。
もし自分が悪質な業者にひっかかって粗大ごみを悪用された場合は、悪質な業者による不法投棄で自宅に警察が来る可能性もあります。
粗大ごみは安全なルートでしっかり処分しましょう。
被害を受けた人からの通報
うどん屋の逮捕事例にもありましたが、不法投棄する姿はどこでだれが見ているかわかりません。
初犯であれ数回目であれ、見ている人は見ています。
こちらの個人ブログでは、不法投棄する人間を捕まえるために地主が隠しカメラを設置した例もあります。
食べ物だし、ゴミからは追跡できないだろう。その甘い考えが命取りです。
リスキーな不法投棄に手を染めるより、正規の手段で処分したほうが安上がりですね。
まとめ
以上が不法投棄についてでした。
今回のまとめは以下の通りです。
不法投棄についてのまとめ
- 不法投棄は年々増えている
- 不法投棄の罰則は重い
- 不法投棄で多くの命が失われている
- 不法投棄はいつかバレるもの
不法投棄は小さなものでも立派な犯罪です。
人と環境に重大な被害を与え、多くの人を困らせる上にバレる可能性も高いです。そして見つかった場合は1000万円以下の罰金が課され逮捕されてしまうこともあります。
不法投棄による環境への被害は回り回って自分や知人にも跳ね返ってきます。
しっかりと情報を仕入れ、安全な業者に依頼することで加害者や被害者になるリスクを減らしていきましょう。
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