日本には四季があり、季節ごとによって住環境も変わります。
みなさんは、季節ごとに掃除の方法を変えてしますか?
「年中同じ掃除じゃダメなの?」と、疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、気候に合わせた掃除をすることで、家の中に潜む見えない病原菌をしっかりと除去することができます。
暑い夏が終わり、気温も涼しくなる秋になると、乾燥によってダニやノロウイルス被害が増加します。
季節によって住環境が変わることで、汚れも変わり、身体にもたらす影響も変わります。
そこで今回は、秋になると増えるダニ、ノロウイルス被害を防ぐための掃除テクニックを紹介していきます。
秋になると「ダニ被害」が増えるのはなぜ?
秋になって気温が下がると、春から夏にかけて繁殖したダニが死滅し、死骸やフンが細かく砕けて浮遊します。
それを吸い込むことによって、アレルギー症状を引き起こす危険があるのです。
ダニがもたらす健康被害
・アトピー性皮膚炎
・気管支喘息
・アレルギー性鼻炎 など
とくにダニの死骸やフンが多くある場所は、皆さんが毎日寝ている布団になります。
これらの症状を防ぐためにも、秋になって気温が下がってきたら、布団の掃除をしてダニの死骸やフンを家の中から除去しましょう。
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秋は「食中毒」にも気をつけよう
夏に多いと思われがちな食中毒ですが、
夏バテを引きずるとともに、夏から秋にかけての温度差に身体が適応できず、体調を崩しやすくなります。
そうなると、免疫力が低下して、食中毒にかかりやすくなるのです。
意外にも、食中毒が最も多く発生しているのは9~10月にかけての時期です。
また、行楽シーズンである秋は、キャンプやバーベキュー、ピクニック、運動会など、野外での食事の機会が多くなります。
野外での調理の際、加熱が足りない場合は、食中毒の原因菌を十分に殺菌できず、発症のリスクが高まり、
気温や湿度が高い状態が続くと、弁当の中で雑菌が繁殖し、食中毒を起こす原因になります。
秋に注意したい食中毒の原因
秋に見られる、食中毒の原因菌には次のようなものがあります。
症状はいずれも下痢や嘔吐、吐き気、腹痛、発熱などを伴う
カンピロバクター菌
牛や豚、鶏など多くの動物が保有しています。
中でも多いのが鶏肉で、鶏肉を調理する際は、十分に加熱してください。
潜伏期間は2~5日です。
腸管出血性大腸菌
O-157などの腸管出血性大腸菌によって発症する食中毒です。
大腸菌は家畜や人の腸内にも存在し、ほとんどが無毒ですが、そのうち出血を伴う腸炎や、溶血性尿毒症症候群を起こすものを腸管出血性大腸菌と呼びます。
生や、加熱が不完全な状態の食肉が主な原因になります。
潜伏期間は2~8日程度です。
サルモネラ菌
夏から秋にかけて多く、食肉や生卵が主な原因です。
加熱が十分でない場合、発症しやすくなります。
犬や猫などのペットから感染することもあるため、ペットに触れた後は忘れずに手を洗いましょう。
潜伏期間は半日から3日程度です。
腸炎ビブリオ菌
生魚や貝など、主に魚介類が原因です。
また、生の魚介類を調理した後、調理器具や手指などを介して汚染された食品でも食中毒が発生します。
真水や熱には弱い性質があり、潜伏期間は短く、6~12時間程度です。
ウェルシュ菌
無酸素状態でも増殖します。
煮込み料理が原因となるケースが多く見られ、カレー、シチュー、スープなどを大量に調理する給食施設などで発生することもあります。
時間をおいてから食べる場合は鍋のまま常温で放置せず、速やかに冷蔵庫に入れましょう。
潜伏期間は短く、6~18時間程度です。
自然毒
秋は旬を迎えるキノコやフグにも注意です。
食中毒を起こすキノコは、ツキヨタケ、クサウラベニタケ、テングタケなどです。
キノコ狩りで採取したキノコも、安全だと鑑定されたもの以外は食べないようにしましょう。
また、フグによる食中毒は致死率が高く、素人判断での調理は禁物です。
子供の食中毒は重症化しやすい
子供は免疫機能や消化能力が十分ではないため、食中毒菌に対抗する力が弱く、大人では問題にならない場合でも重症化することがあります。
子供は少量の菌でも食中毒を発症しやすく、特に脱水症は命取りになりかねません。
子供の身体は水分が占める割合が高く、下痢や嘔吐がひどい場合は、体から水分がどんどん失われていきます。
内臓の働きが低下し、意識がもうろうとなり、命に関わる危険性も出てきます。
子供が食中毒にならないようにするためにも、家の中に潜む病原菌を、日頃の掃除で取り除いていきましょう。
乾燥で「ノロウイルス」が増加する
乾燥する秋になると流行り出すのが、ノロウイルスによる感染性胃腸炎。
感染すると、嘔吐や下痢などの深刻な症状が起こります。
感染力が非常に高いのが特徴で、少量の少量のウイルス(10〜100個)でも感染・発症します。
残念ながら掃除でノロウイルスを予防することはできませんが、
トイレを中心とした除菌を徹底して行い、家族への二次被害を食い止めることはできます。
ノロウイルスは「ノンエンベロープウイルス」というものになり、アルコール消毒剤や熱に対する抵抗力が高い厄介なウイルス。
ですが、最近ではノンエンベロープウイルスにも有効な新しい「酸性アルコール消毒剤」が開発され、
私たちの身近なドラックストアなどでも購入することができます。
「ダニ」「ノロウイルス」を防ぐ4つの掃除テクニック
ダニやウイルスなどから家族を守るために、掃除を行い住環境をキレイに整えていきましょう。
その際に、健康被害を防ぐためのポイントを押さえた掃除テクニックが4つあるので、紹介していきますね。
①布団を洗い、ダニの死骸をリセット
増えてしまったダニの死骸を除去することが重要になります。
布団を丸洗いできる場合は洗い、天日干しや布団乾燥機で完全に乾かし、
その後は掃除機をかけて死骸を吸い取っていきましょう。
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②浮遊しているダニのフンや死骸を取り除く
ダニのフンや、アレルゲン物質は空中に浮遊しているので、
空気清浄機で吸ったり、空中に水を好きかけて床に落下させて回収します。
また、高所のホコリと絡み合うため、高所のホコリ除去も念入りに行うようにしましょう。
③洗面所の最近の繁殖を防ぐ
手洗いは食中毒予防の基本になりますが、いくらキレイに手を洗っても、洗面所周辺に雑菌がついていては元も子もありません。
手の触れる部分の除菌を心がけ、手を拭くタオルは毎日変えたり、びしょびしょになってしまった時点で取り替えるなど、
清潔な状態を保つようにしましょう。
④ノロウイルス感染を防ぐ、嘔吐物の処理法
ノロウイルスの感染を防止するために、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)や、電解次亜水(ハイパージア)を使って消毒をします。
家庭で作ることもできますが、作り置きをしておくことはできないので、市販で販売されている製品を常備しておくといいでしょう。
予防に使えるだけでなく、嘔吐物の処理の際にも使うことができます。
塩素系除菌漂白剤の主成分でもある次亜塩素酸ナトリウムは、ノロウイルスに有効とされる消毒効果があります。
嘔吐物の処理法
嘔吐は突然発生することが多いため、あらかじめ処理に必要なアイテムがひとまとめになったものを用意しておくと処理もスムーズにできます。
ウイルス感染が多いシーズンになる前に、念のために用意しておくといいでしょう。
用意するもの
・次亜塩素酸ナトリウム消毒液(1000pmm)
・手袋(取り替え用も数枚)、マスク、使い捨てエプロン
・ペーパータオル(ティッシュやキッチンペーパー)
・ビニール袋(嘔吐物用)
・ゴミ袋
必ず手袋、マスク、使い捨て出来るエプロンを身に着けて行う
step
1手袋、マスク、使い捨てエプロンを身に着ける
step
2嘔吐物を拭き取り、ビニール袋に捨てる
嘔吐物全体が隠れるようにペーパーをかぶせ、外側から中心に向かって集めるようにして、ビニール袋に入れます。
キレイに取り切れるまで何度か繰り返します。
step
3ビニール袋の口を結びゴミ袋へ捨てる
step
4手袋を外し捨て、手を消毒する
ここで一度、手袋を取り替えます。
外した手袋はゴミ袋へ捨て、手を洗い消毒してから、新しい手袋をつけましょう。
step
5汚染した場所よりも広範囲な箇所にペーパーを敷く
step
6ペーパーの上から次亜塩素酸ナトリウム消毒液をかけ、10分ほど放置
step
7消毒液を拭き取り、水拭き
消毒液を拭き取ったあとは、液が残らないようにしっかりと水拭きをしてください。
水拭きに使ったぞうきんやふきんは、必ず捨ててください。
step
8手袋を外し消毒をして、マスク、エプロンを捨てる
step
9新しい手袋を着用し、ゴミ袋の口を結び密閉する
何度も手袋を取り替えたり、手の除菌をしなければなりませんが、
それだけしないとノロウイルスというものはすぐに感染してしまう厄介な病原菌です。
感染をしないためにも、嘔吐物の処理をする際は十分に気を付けながら行うようにしてください。
まとめ
風邪やウイルスは、外からもらってくることが多いですが、実は家の中にも病原菌が潜んでいます。
そういった病原菌を家から取り除くための掃除は、とても重要なものとなってきます。
一度に行う必要はありませんから、毎日少しずつ健康のための掃除を行ってみてはいかがでしょうか。